「僕はお前とは違う」
台湾発!青春ホラー映画「怪怪怪怪物!」(かいかいかいかいぶつ、台湾・2017年公開)をAmazon Primeで視聴しました!
タイトルからして、ただのくだらないB級ホラーかな?と思いきや、ガッツリとパンチの効いた内容の良作でした!
この映画はホラーが本質なのではなくて、善と悪をテーマに扱った青春系ヒューマンドラマって感じでしたね。

ホラー映画か?と言われたら微妙に違う気もします…。
いじめのシーンとかは割とポップに描かれていますが、内容はかなり陰険で残酷です。
そんな台湾ホラー映画「怪怪怪怪物!」の感想とあらすじです。
ネタバレを含むので注意!!
映画「怪怪怪怪物!」あらすじ
真面目な男子高校生のリン・シューウェイは、不良軍団やクラスメート達からいじめられ、からかわれる毎日を送っていた。
クラスの給食費を盗んだ容疑で濡れ衣を着せられ、不良軍団と一緒に独居老人の世話をみるというボランティアをすることになる。
老人の部屋で謎のケースを発見し、持ち帰ってみると「怪物の子供(妹)」が入っていた。
興味本位で怪物を飼育し、縛り付けて虐待を繰り返す不良軍団。
リンは自分はあいつらと同じ悪人ではないと葛藤するも、虐待に加わってしまい自暴自棄になる。
やがて妹怪物を探している姉の怪物が惨劇を繰り返し、テレビのニュースで流れるほどになっていく。
リンと不良たちは学校に姉怪物をおびき出して、燃やしてしまおうと計画を立てるが…
ざっくりと書きましたが、妹の怪物を虐待するシーンなどはえげつなかったです。

不良ボスの残虐非道さが際立っていました。
予告動画・キャスト
ギデンズ・コー
【キャスト】
トン・ユィカイ、ケント・ツァイ、チェン・ペイチー、ユージェニー・リウ、リン・ペイシン
映画「怪怪怪怪物!」感想(ネタバレ注意)
【個人的評価】★★★★☆

★3.6くらい!予想を超えて面白かった!BGMが特に良い!
果たして悪者は怪物なのか、それとも人間たちなのか。
この映画のテーマはそこにあったように思いました。
ブッ飛び気味の青春怪物映画だった!
日本映画もこのくらいはっちゃけた作品を撮って欲しいものです…。
日本のポップカルチャーが垣間見える
日本のポップカルチャーに対する好意的なものを感じましたね。
老人にナルトのガーラとかフリーザのメイクをしてオモチャにしてみたり。
後述しますが、劇中に邦画スワロウテイルのChara(Yen town band)のmy wayが流れます。

これをここで使ってくるのか〜って感じでした。ナイス選曲!
僕は台湾に行ったことが無いのですが、日本のアニメとかポップカルチャーのがかなり浸透している様子ですね〜。
きっと監督もアニメや日本映画から影響を受けているんでしょうね!
善と悪の狭間で葛藤する主人公
主人公のリンは優等生ですが、「面白いから」という理由で不良たちにいじめられ、クラスメートたちにからかわれています。
間違えた事をしていないのに、先生からも「あなたは人間関係を学びなさい」と説教されてしまいます。
そして唯一、リンと同じような立場で、みんなからハブられているおデブの女生徒がいます。
彼女はいじめられているのか、廊下に机をイスを移動して一人寂しく学校生活を送っています。(これが問題にならない学校もやばいですが)
リンは自分をいじめる不良や教師たち、そして「あなたは私と同じ人間なのよ」アピールしてくるいじめられっ子の女生徒に対して、自分はお前らとは違う!と拒絶し続けます。
いわば、不良達が「悪」で、オデブ女生徒が「善」という構図です。
リンはこのどちらにも付く事ができず、葛藤し続けるのです。
(もっとオデブの善的なエピソードを入れた方が、善悪の構図がはっきりしたのかも?)
怪物は不良たちに虐待され続けますが、リンは最後の最後で妹怪物を救ってやると約束します。
自分はあいつらのような悪人ではなく、善人でいたいから…と。
しかし、怪物姉妹は燃えてしまい、不良達も全員やられてしまいます。
その後の学校生活は相変わらずで、リンはいじめられっ子のままでした。
そしてリンは、オデブの女生徒に対して、自分はお前と違う!!と給食を投げ飛ばしてしまいます。
そして給食を食べた学校の生徒達は、ほぼ全員がリンの仕込んだ怪物の血液によって、体が燃えてフィニッシュです。
リンはオデブ(善人)を救い、自分は善人ではない!と拒絶し、悪人の道を選んだのです。
そして自分自身も燃えてしまい…ここで話は終わります。
スカッとするラストのようで、そうでもないような…。

けっこうやるせない話なんですよね〜…。
YEN TOWN BAND「My way」のカバー曲が最高にしびれる
この映画の最も印象的だったシーンです。
生徒達が乗る通学バスの前に姉怪物が現れるシーン。
ここで映画スワロウテイルのYen town bandでCharaが歌ったあの「My way」が流れます。
映像と音楽が本当にマッチしていて、切なくて感情的で、何度も観たくなるシーンでした。
映画で使われた時の曲は、台湾の女性がカバーしたバージョンになるのでしょうか?
っていうかMy wayはフランク・シナトラの曲なので、カバーのカバーということになりますね。
↓こちらがyen town bandの元祖「My way」です。

怪怪怪怪物バージョンのMy wayの方が好きかも。
つまらなかったところ
つまらない…というか、ちょっと残念だったところです。
一つは、「怪物がしょぼすぎる」というところ。
CGか何かで肌を汚く見せているのですが、ただの泥だらけのホームレスにしか見えません。
かつ、虫の毒で怪物化したという説明もあっさりで、設定も安易すぎるような。
光を浴びると燃えるとか、既視感まみれの設定で面白味に欠けたように思います。
このしょぼさが故に、B級ホラーという枠を抜け出ていない感じがしました。

でもまあ、これはこれで嫌いではないんですけどね。
もう一つは、コメディなのかシリアスなのか、その辺がぐらぐらに感じました。
そんなことしたらすぐ警察に捕まるだろ!とか、ちょっとやりすぎな演出も、コメディならではの許されるところがあったと思うので、仕方なくコメディ要素を入れていったのかな?と思いました。
でもこの映画をシリアス路線で撮影したら、とんでもない陰惨な内容になったでしょうね。

いじめとか虐待シーンとかエグすぎるから。
映画「怪怪怪怪物!」配信サービス
僕はAmazon Primeの字幕版で視聴しました!

吹き替え版はないようです…。
まだ観ていない人は是非こちらからどうぞ!
まとめ
- 日本のポップカルチャーが垣間見える
- 善と悪の狭間で葛藤する主人公
- YEN TOWN BAND「My way」のカバー曲が最高にしびれる
個人的にはやっぱりバスでmy wayが流れるシーンが一番好きでした。
スパイダーマンみたいに逆吊りになった姉怪物が、不良女と対峙するシーンも絵的にかっこよかった。
ただのB級ホラーとなめてかかると痛い目に遭う、青春残酷物語なのでした。
ちなみに、台湾ホラー映画といえばこちらも記事にしたので、よければついでにどうぞ!
個人的にとても好きな幽霊ホラー作品でした!
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